またはじまった登山教条的プロパガンダ

まずはyahooヘッドラインからの引用

 GPS(衛星利用測位システム)で登山、過信は禁物。スマートフォン(多機能携帯電話)の普及などでGPS機能を使う登山者が増える中、県警や登山団体が注意を促している。充電切れや山頂などで機能しない不安があるほか、秦野市内では、山岳地図を携行しなかったためルートを外れて遭難し、救助されたケースも。「GPSはあくまで補助的なもの。地図と併用を」と呼び掛けている。(カナロコ)

引用終わり

 自分も地図とコンパスの携行は重要かつ基本の一つと考えているし、実際、登山には必ず携行するようにしている。しかし、この記事はじめ多くの登山に関する書物などの記載からは、「地図とコンパス・・・そして読図」も(GPS同様)補助的なものであるという観点は消え失せてしまい、多くの人々に「地図とコンパスを持ち、そして読図できれば、相当程度、道迷いやルートロスト、そして遭難を防ぐことができる」という誤解を招いているような気がする。

 話は変わるけれど、少し前に「車のヘッドライトは上向きが基本」という事が喧伝された。それ以降、高速道路でライト上向きのまま走る車が著じるしく増えた。車のヘッドライトは、「対向車が居る時は下向き・対向車が居ない時は上向き」が基本であって「車のヘッドライトは上向き」だけが基本ではない。高速道路では、万が一、対向車がハイビームのままでもできるだけまぶしくないような安全上の工夫がされているとはいえ、ハイビームのままだと対向車がまぶしい箇所がほとんどで、対向車にとっては危険=特に運転席の高いトラックなどはそうだ。トラックのプロ運転手さんが、対向車がいるのにハイビームのままで走るケースにはほとんどお目にかからない。

 話を元の記事に戻すと「秦野市内では、山岳地図を携行しなかったためルートを外れて遭難」=地図を携行しなかったことが、さも道迷いの第一の原因のような書き方、さも地図とコンパスを携行していさえすれば遭難しなかったような印象を与える。実際の遭難の原因はもっと複合的であって、防ぐ手立ても「地図とコンパス」以外にも複数あったものと推測する。「地図とコンパス」も(GPS同様)補助的なものであって、過信が禁物なのは同じなのだ。「GPSは万能ではない」という記述はよく目にする。それ以上に「地図とコンパス」も決して万能ではない事をもっと知るべきだと考える。

 さて、登山で道迷いや道間違い、ルートロストを防ぐためには何が必要=基本かをもう一度確認してみたいと思う。

まず行動中には、
1.自分の現在位置を知る。
2.歩こうとしているルート・目的地および進むべき方向を知る。
事が重要である。

 いきなり、地図とコンパスだけを頼りに自分の正確な現在位置を知ることは至難の業である。展望のない森の中やガスった時はまず不可能だ。地図とコンパスから自位置を把握する為には、出発時から常に地図とコンパスをつき合わしつつ、歩行速度と歩行時間や方向などから自位置を確認して歩く必要がある。多くの人は、何度か歩いた山道ではいちいち地図を見ない。地図をはじめとするいろんな情報が頭の中にある程度入っていて、自位置はここらへん・・・と言うことを(地図上か地図とは関係無しにかは、わからないけれど)頭の中で無意識に把握しているからである。自位置の確認にGPSが有効な場合が多いことはいうまでもない。通常から、頻繁に(地図上であろうが、なかろうが)自位置を確認するように心がける事が(読図以上に)重要だ。

 2万5千分の1地形図だろうが、GPSだろうが、正確な登山道が記載してあるわけではない。もっとも、2万分5千分の1の地形図は登山道(といわれている道)が点線で記載されていることもある。GPSで実測したルートとはしばしばズレがある。そのズレは大きい場合もあればごく僅かな場合もある。つまり地形図は登山道=ルートを知るということに関してはきわめて大まかなことしかわからないということである。(ちなみに自分が昔聞いた話では、2万分5千分の1地形図と5万分の1地形図とでは詳細度はあまり変わらないので、広範囲が俯瞰できて山座を同定し、三点法での自位置確認に有利だから登山では5万分の1地形図を使用せよということであった。)

 まだまだ、書きたいことはあるけれど割愛して、地図とコンパス以外の基本について記載する。

1.事前に山と登山道の状況を、色々な手段と方法で知って置くこと。
 地形図は基本的かつ重要ではあるけれども、山の地形等の一部の情報を記した一つの媒体にしかすぎない。地形図だけではなく、解説入りの山岳地図やネット上の情報もできるだけ把握しておく。ブログなどの情報は「しばしば誤りがあるので鵜呑みにするな」と言われるが、裏返せばそれだけ詳細な情報であるということだ。その記事の季節や時期等に注意して、有用ないし普遍的と思われる部分を活用することが重要。
 できれば初めての山は、できるだけその山の経験者に同行してもらうのが良いと思う。単に道を教わるということにとどまらず、見所やいろいろと幅広い知識も教えてもらえ、無駄?が少ない山歩きを楽しめます。

2.行動中は、五感を働かせてルートや付近の情報をできるだけ記憶する。
 道端の草・付近の景色から、遠くの山の稜線の形状などを覚えながら歩く。音や(匂いなども?)(ここら辺まで川音や道路を走る車の音が聞こえた等)。難しいことを言うようですが、特徴的な事や分岐点の標識など楽しみながら歩けば記憶に残ると思う。カメラ持っている人は素敵な景色や被写体はもちろん記録のつもりでできるだけシャッター押しておくのもいいかも。そのほかテープや目印、登山道の様子などたくさんのことがあり、全部は網羅できそうもない。
 山歩きに慣れ、何度か道迷いの経験をすると、なんとなく登山道というかルートが見える(わかる)ようになってくる。時々は同じ間違いを繰り返すこともありますが。

3.色々な知識と技術を知る。
 たとえばコンパスはなくとも、太陽さえ隠れていなければ大まかな方向は知ることができる。日の出直後ならば太陽は東にある。正午には南。夕暮れ近くには西。時計を持っていれば、短針を太陽にあわせ時計12時の方向が南・・・だとか。登山道は尾根を通っている事が多い・・・だとか。テープは登山道を示すものであるが時々は登山道ではなく植林の境界を示すためにつけられていることもある・・・だとか。分岐点では標識が正しい方向を向いているものがどうか、一旦疑ってかかれ・・・だとか。ちょっと取り留めがなくなりました。

ここらへんでやめることにします。

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またはじまった登山教条的プロパガンダ への2件のフィードバック

  1. kou のコメント:

    スマートフォンは一番危ないと思いますね、まだまだ信頼性が無いですから
    特に電池切れ、電池が切れたら最後の手段の通話機能も無くなりますからね。
    一つの物に頼らず複数の安全策が必要ですね。

    実はおいら、基本中の基本の地図を持っていかないことが多いです
    地図を広げるのが億劫だから、山を歩いていて地図を見ている人をほとんど見たことがありません。

    おいらの場合は迷ったらわかる所まで引き返す、基本はピストン
    縦走は下山ルートが通れるかが解らないので遭難の危険度がますからです。
    道迷いは下山で起きる、山頂は一つですから迷いにくい。

    団体は安全神話がありますが話をしたりルートも他人任せになって
    他安全面でもメンバーに頼って実力以上の山に行ってしまう危険がある。

    最近の事故を見ても決してガイドが付いたグループ登山が安全とはいえない
    かえって商業的に危険なことさえしてしまいます。

    ぐだぐだ書きましたが危ないと思うことも大事ですが普通は登山とは安全なものだと思いますよ。
    交通事故ではさほど話題になりませんが遭難では大々的に報道されます。
    確率論から言うと登山をしないで疾病による死亡の方が確率は高そう?
    しかし、遭難すると多くの人に迷惑をかけてしまうのも事実ですね。

    • Punipuny のコメント:

       まあ、携帯やスマホのGPSとて地図と一緒。ないよりはある方があきらかに良いわけで。電源や故障の恐れもさることながら、地図(地形図)がgoogleマップだったりしてやや詳細度にかけるかなあ。でも航空写真も見られるので結構役立つ優れモノだと思う。Garmin@登山用GPSだと画面は小さいけれど地形図の詳細度は高い=2万5千分の1地形図並み。誤差表示も出るし、高度や進む方向もわかるからかなり便利。
       山域や登る山にもよりけりだと思うけれど、地図以外の情報を利用して歩いている事の方が圧倒的に多いよね。無意識のうちに登山道の様子だとか、分岐点だとか、方向だとか・・・過去の経験から得たものを活用し歩いている。奥深いといわれている山や、登山道のはっきりしない山に地図とコンパスだけで踏み入るのは怖い。自分の場合、単独ならばGPS必須ですね。近場の山、初めての時は単独でルート見つけながら歩くのが楽しいんだけど、初めての屋久島・大崩山、kouにガイドしてもらって本当に良かったと感じている。霧島・高千穂や開聞岳もだ~。単独ぢゃたぶん歩ききれなかったような気がする。

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